目次
・指数
・指数関数
・対数
・対数関数
指数
\[ 累乗\]
同じ変数、定数あるいは数をかけ合わせたものを累乗と呼ぶ。かけ合わせる回数を記号や文字の右上に書いて表す。例えば、\[ a \times a \times a = a^3\]のように表す。かけ合わせている変数、定数あるいは数を底(てい)と呼び、かけ合わせる回数を指数(しすう)と呼ぶ。
\[ 正の実数の累乗\]
\( a \) を正の実数とするならば、\( n \) を自然数、\( m \) を整数として、\( a \) の累乗は次のように定義される。
[1] \( a^0 = 1 \)
[2] \( a^n \) は \( a \) を \( n \) 回かけ合わせたものに等しい。
[3] \( a^{-n} \) は \( \frac{1}{a} \) を \( n \) 回かけ合わせたものに等しい。
[4] \( a^{\frac{m}{n}} \) は \( a^m \) の \( n \) 乗根、すなわち、\( n \) 回かけ合わせると \( a^m \) となる数に等しい。これを、\( a^{\frac{m}{n}} = \sqrt[n]{a^m} \) と表す。特に、\( n = 2 \) の場合、\( a^{\frac{m}{2}} = \sqrt{a^m} \) と \( 2 \) を省略して表すことがある。
[5] \( p \) を無理数とし、\( \left\{ p_l \right\} \) を有理数からなる数列とする。\[ \lim _{l \to \infty} p_l = p \] が成り立つなら、 \[ a^p = \lim _{l \to \infty} a^{p_l} \] と定める。
[1] \( a^0 = 1 \)
[2] \( a^n \) は \( a \) を \( n \) 回かけ合わせたものに等しい。
[3] \( a^{-n} \) は \( \frac{1}{a} \) を \( n \) 回かけ合わせたものに等しい。
[4] \( a^{\frac{m}{n}} \) は \( a^m \) の \( n \) 乗根、すなわち、\( n \) 回かけ合わせると \( a^m \) となる数に等しい。これを、\( a^{\frac{m}{n}} = \sqrt[n]{a^m} \) と表す。特に、\( n = 2 \) の場合、\( a^{\frac{m}{2}} = \sqrt{a^m} \) と \( 2 \) を省略して表すことがある。
[5] \( p \) を無理数とし、\( \left\{ p_l \right\} \) を有理数からなる数列とする。\[ \lim _{l \to \infty} p_l = p \] が成り立つなら、 \[ a^p = \lim _{l \to \infty} a^{p_l} \] と定める。
上の定義の[1]は次の極限を考えるとその意味がわかります。
\[ \lim _{n \to \infty} a^{\frac{1}{n}} \ \ (a \gt 0) \]
\( \infty \) は無限大を表す記号です。\[ \lim _{n \to \infty} \]は \( n \) を限りなく大きくすることを意味しています。
\( a^{\frac{1}{n}} \) は[4]より \( a \) の \( n \) 乗根、つまり \( n \) 回かけて \( a \) になる数を表しています。
この \( n \) がどんどん大きくなると、\( a^{\frac{1}{n}} \) は1に限りなく近づいていきます。つまり、次の式が成り立ちます。
\[ \lim _{n \to \infty} a^{\frac{1}{n}} = 1 \ \ (a \gt 0) \]
そして、\( n \to \infty \) で \( \frac{1}{n} \to 0 \) だから、この極限はこう書いても一緒です。
\[ \lim _{n \to 0} a^{n} = 1 \ \ (a \gt 0) \]
この極限が成り立つことから、正の実数の累乗では[1]の定義を採用しています。
[5]は指数が無理数のときの累乗を定義しています。
[4]で定義できるのは指数を分母分子が整数からなる分数で表せるとき、つまり指数が有理数のときの累乗だけなので、[5]が必要になります。
[5]に数列という言葉がありますが、これは文字通り、数を列にして並べたものです。列にして並べたそれぞれの数のことを項と呼びます。 数列は一般的に、 \[ a_1, \ a_2,\ a_3, \ldots ,\ a_n, \ldots \] などと表します。この場合、\( a_1 \) を初項と呼びます。また、数列は \( \{ a_n \} \) と表されることもあります。
数列も関数と同じく極限を考えることがあり、それは次のように定義されます。
[5]に数列という言葉がありますが、これは文字通り、数を列にして並べたものです。列にして並べたそれぞれの数のことを項と呼びます。 数列は一般的に、 \[ a_1, \ a_2,\ a_3, \ldots ,\ a_n, \ldots \] などと表します。この場合、\( a_1 \) を初項と呼びます。また、数列は \( \{ a_n \} \) と表されることもあります。
数列も関数と同じく極限を考えることがあり、それは次のように定義されます。
\[ 数列の極限\]
数列 \( \{ a_n \} \) について、どれだけ小さな任意の正の数 \( \epsilon \) を選んだとしても、それに応じてある数 \( M \) を選ぶことで、\( M \) 番目よりあとのすべての項は \( a \) との差の絶対値が \( \epsilon \) より小さくなるならば、数列 \( \{ a_n \} \) は収束し、その極限値は \( a \) であるという。このことを\[ \lim _{n \to \infty} a_n = a \]と表す。
\( \epsilon \) はイプシロンと読みます。
絶対値は、簡潔に言えば数からマイナスの符号を取っ払ったものです。ちゃんと定義するとこうなります。
\[ 絶対値\]
実数 \( a \) の絶対値は、\( a \) が \( 0 \) 以上なら \( a \) に等しく、\( a \) が \( 0 \) より小さいなら \( -a \) に等しい。\( a \) の絶対値を \( |a| \) で表す。
数列の収束について理解を深めるために、1つ次の具体例を考えてみます。
\[ 1, \frac{1}{10} , \frac{1}{100} , \frac{1}{1000}, \ldots \]
この数列の極限値は \( 0 \) ですが、例えば
\( \epsilon = \frac{2}{10} \) とすれば、定義にある \( M \) は1となります。同じように、
\( \epsilon = \frac{2}{100} \) とすれば、 \( M \) は2となります。
このように \( \epsilon \) をどんどん小さくしていっても、それに応じて \( M \) を決めることができるというのがポイントです。
無理数に収束する有理数列は様々な方法で作ることができます。
例えば、二分法を使えば \( a \) を正の有理数、\( n \) を自然数、\( m \) を整数として \( \sqrt[\frac{m}{n}]{a} \) と有理数からなる数は原理上すべて計算できるため、この計算過程で現れる数列が二分法で求める無理数に収束する有理数列になります。
円周率 \( \pi \) も無理数ですが、これについては円周率に収束する有理数列はいくつも知られているため、
無理数に収束する有理数列があるかどうかということは心配する必要はありません。
\[ 指数法則\]
累乗の計算においては、\( a \) 、\( b \) を正の実数、\( p \) 、\( q \) を実数として、次の指数法則が成り立つ。
\[ \begin{align} &[1]\ a^p a^q = a^{p+q} \\ &[2]\ \left( a^p \right) ^q = a^{pq} \\ &[3]\ (ab)^p = a^p b^p \\ &[4]\ \frac{a^p}{a^q} = a^{p-q} \\ &[5]\ \left( \frac{1}{a^p} \right) ^q = \frac{1}{a^{pq}} \\ &[6]\ \left( \frac{a}{b} \right) ^p = \frac{a^p}{b^p} \end{align} \]
\[ \begin{align} &[1]\ a^p a^q = a^{p+q} \\ &[2]\ \left( a^p \right) ^q = a^{pq} \\ &[3]\ (ab)^p = a^p b^p \\ &[4]\ \frac{a^p}{a^q} = a^{p-q} \\ &[5]\ \left( \frac{1}{a^p} \right) ^q = \frac{1}{a^{pq}} \\ &[6]\ \left( \frac{a}{b} \right) ^p = \frac{a^p}{b^p} \end{align} \]
指数法則の証明は \( p \) と \( q \) を実数とすると少し難しいので、\( p \) と \( q \) が有理数のときだけ証明しておきます。
\[ 指数法則[1]の証明\]
\( l \) と \( n \) を自然数、\( k \) と \( m \) を整数とする。
\[ \begin{align}
a^{\frac{m}{n}} a^{\frac{k}{l}} &= \sqrt[n]{a^m} \sqrt[l]{a^k} \\\\
&= \sqrt[ln]{a^{lm}} \ \sqrt[ln]{a^{kn}} \\\\
&= \sqrt[ln]{a^{lm} a^{kn}} \\\\
&= \sqrt[ln]{a^{lm+kn}} \\\\
&= a^{\frac{lm+kn}{ln}} \\\\
&= a^{\frac{m}{n} + \frac{k}{l}}
\end{align} \]
\[ 指数法則[2]の証明\]
\( l \) と \( n \) を自然数、\( k \) と \( m \) を整数とする。
\[ \begin{align}
\left( a^{\frac{m}{n}} \right) ^{\frac{k}{l}} &= \sqrt[l]{\left( a^{\frac{m}{n}} \right) ^k} \\\\
&= \sqrt[l]{a^{\frac{km}{n}}} \\\\
&= a^{\frac{km}{ln}}
\end{align} \]
\[ 指数法則[3]の証明\]
\( n \) を自然数、\( m \) を整数とする。
\[ \begin{align}
\left( ab \right) ^{\frac{m}{n}} &= \sqrt[n]{\left( ab \right) ^m} \\\\
&= \sqrt[n]{a^m b^m} \\\\
&= \sqrt[n]{a^m}\ \sqrt[n]{b^m} \\\\
&= a^{\frac{m}{n}}\ b^{\frac{m}{n}}
\end{align} \]
\[ 指数法則[4]の証明\]
\( l \) と \( n \) を自然数、\( k \) と \( m \) を整数とする。
\[ \begin{align}
\frac{a^{\frac{m}{n}}}{a^{\frac{k}{l}}} &= \frac{\sqrt[n]{a^m}}{\sqrt[l]{a^k}} \\\\
&= \frac{\sqrt[ln]{a^{lm}}}{\sqrt[ln]{a^{kn}}} \\\\
&= \sqrt[ln]{\frac{a^{lm}}{a^{kn}}} \\\\
&= \sqrt[ln]{a^{lm-kn}} \\\\
&= a^{\frac{lm-kn}{ln}} \\\\
&= a^{\frac{m}{n}-\frac{k}{l}} \\\\
\end{align} \]
\[ 指数法則[5]の証明\]
\( l \) と \( n \) を自然数、\( k \) と \( m \) を整数とする。
\[ \begin{align}
\left( \frac{1}{a^{\frac{m}{n}}} \right) ^{\frac{k}{l}} &= \left( a^{-\frac{m}{n}} \right) ^{\frac{k}{l}} \\\\
&= \left( a^{-\frac{km}{ln}} \right) \\\\
&= \frac{1}{a^{\frac{km}{ln}}}
\end{align} \]
\[ 指数法則[6]の証明\]
\( n \) を自然数、\( m \) を整数とする。
\[ \begin{align}
\left( \frac{a}{b} \right) ^{\frac{m}{n}} &= \sqrt[n]{\left( \frac{a}{b} \right) ^{m}} \\\\
&= \sqrt[n]{a ^{m}} \ \sqrt[n]{\left( \frac{1}{b} \right) ^{m}} \\\\
&= a^{\frac{m}{n}} \times \left( \frac{1}{b} \right) ^{\frac{m}{n}} \\\\
&= \frac{a^{\frac{m}{n}}}{b ^{\frac{m}{n}}}
\end{align} \]
指数関数
\[ 指数関数\]
\( a \) を正の実数とする。関数\[ y = a^x \]を \( a \) を底とする指数関数と呼ぶ。
ここでは \( y = 2^x \) と \( y = \left( \frac{1}{2} \right) ^x \) を例としましたが、一般に、\( y = a^x \) と \( y = \left( \frac{1}{a} \right) ^x \) のグラフは \( y \) 軸対称になります。
また、どちらのグラフも \( x = 0 \) のときに \( y = 1 \) になっていますが、これは任意の正の実数の0乗は1だからです。
それから、指数関数は底の値によらず、値域が正の実数全体になるので、グラフは \( x \) 軸より上側に描かれています。
\[ ネイピア数\]
\( x = 0 \) における接線の傾きが \( 1 \) になる指数関数を\[ y = e^x \]と表し、\( e \) をネイピア数と呼ぶ。
ネイピア数は \( e = 2.71828 \ldots \) という無理数です。
接線は素朴な見方では曲線にすれすれで触れている直線ですが、もう少しちゃんと言えば、
曲線と一点を共有し、その共有点での傾きが曲線と等しい直線のことです。
対数
\[ 対数\]
底を \( a \) とする \( b \) の対数とは、\( a^n = b \) を満たす指数 \( n \) の値であり、\[ \log _{a} b = n \]と表す。\( b \) を真数と呼ぶ。ただし、\( a \) は \( 1 \) を除く正の実数、\( b \) は正の実数とする。底が \( 10 \) の対数を常用対数と呼び、底がネイピア数 \( e = 2.71828 \ldots \) の対数を自然対数と呼ぶ。常用対数を \( \log b \) 、自然対数を \( \ln b \) と略記することがある。
対数の底は1を除く正の実数という条件がついていますが、これは1を何乗しても1にしかならないためです。
\[ 対数法則\]
\( a \gt 0 \) 、\( a \neq 1 \) 、\( p \gt 0 \) 、\( q \gt 0 \) 、\( r \) を実数として、次の対数法則が成り立つ。
\[ \begin{align}
&[1]\ \log _{a} pq = \log _{a} p + \log _{a} q \\
&[2]\ \log _{a} \frac{1}{q} = - \log _{a} q \\
&[3]\ \log _{a} \frac{p}{q} = \log _{a} p - \log _{a} q \\
&[4]\ \log _{a} q^r = r \log _{a} q \\
\end{align} \]
対数法則はすべて指数法則から導かれます。ここでは、指数法則は指数が実数の範囲まで成り立っていると仮定して、対数法則を証明します。
\[ 対数法則[1]の証明\]
対数の定義より、
\[ a^{\log _a p} = p\]
\[ a^{\log _a q} = q\]
よって、
\[ pq = a^{\log _a p} \times a^{\log _a q} = a^{\log _a p + \log _a q}\]
一方、対数の定義より、
\[ a^{\log _a pq} = pq \]
であるから、
\[ a^{\log _a pq} = a^{\log _a p + \log _a q}\]
この式の両辺について \( a \) を底とする対数を取ると、
\[ \log _a pq = \log _a p + \log _a q\]
\( \log _a p \) は \( a \) を何乗したら \( p \) になりますかという問の答えの数なので、
その数を \( a \) の指数に持ってきた \( a^{\log _a p} \) は当然 \( p \) になります。
二通りの方法で \( pq \) を求め、それらが等しいと置くことで、対数法則の一つ目を導いています。
\[ 対数法則[2]の証明\]
対数の定義より、
\[ a^{\log _a q} = q\]
よって、
\[ a^{-\log _a q} = \frac{1}{q}\]
一方、対数の定義より、
\[ a^{\log _a \frac{1}{q}} = \frac{1}{q} \]
であるから、
\[ a^{\log _a \frac{1}{q}} = a^{-\log _a q}\]
この式の両辺について \( a \) を底とする対数を取ると、
\[ \log _a \frac{1}{q} = -\log _a q\]
\[ 対数法則[3]の証明\]
対数の定義より、
\[ a^{\log _a p} = p\]
対数法則[2]より、
\[ a^{\log _a \frac{1}{q}} = a^{-\log _a q} = \frac{1}{q}\]
よって、
\[ \frac{p}{q} = a^{\log _a p} \times a^{-\log _a q} = a^{\log _a p - \log _a q} \]
一方、対数の定義より、
\[ a^{\log _a \frac{p}{q}} = \frac{p}{q} \]
であるから、
\[ a^{\log _a \frac{p}{q}} = a^{\log _a p - \log _a q} \]
この式の両辺について \( a \) を底とする対数を取ると、
\[ \log _a \frac{p}{q} = \log _a p - \log _a q\]
\[ 対数法則[4]の証明\]
対数の定義より、
\[ a^{\log _a q} = q\]
よって、
\[ q^r = \left( a^{\log _a q} \right)^r = a^{r \log _a q}\]
一方、対数の定義より、
\[ a^{\log _a q^r} = q^r \]
であるから、
\[ a^{\log _a q^r} = a^{r \log _a q} \]
この式の両辺について \( a \) を底とする対数を取ると、
\[ \log _a q^r = r \log _a q\]
対数関数
\[ 対数関数\]
\( a \gt 0 \) 、\( a \neq 1 \)、\( x \gt 0 \) とする。関数
\[ y = \log _a x\]
を \( a \) を底とする対数関数と呼ぶ。
一般に、\( y = \log _a x \) と \( y = \log _{\frac{1}{a}} x \) のグラフは \( x \) 軸対称になります。
参考:
[1] George Allen & Unwin Ltd 著、矢野健太郎 訳補、ブルーバックス 現代数学百科、講談社、1968年11月30日発行
[2] 石村園子、やさしく学べる微分積分、共立出版、1999年12月25日発行