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  ・拡散律速凝集(DLA)




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数値計算16話






カヤ

おー、これは綺麗だな。

ナユミ

本当!綺麗ね。これもまたランダムウォークみたいなもの?

カヤ

おう、いい線いってるな。これはランダムウォークを応用した拡散律速凝集(DLA)という手法で描いているんだ。




―説明書―
 拡散律速凝集(DLA)のシミュレータです。
 画面上の●が析出核で、マウスでドラッグすると動かせます。 核の数はセレクトボックスで選べます(最大3つ)。 ただし、忍石モードでは核の位置は画面下中央に固定されます。
 「開始/停止」ボタンを押すとDLAシミュレーションが開始します。
 色相スライダーと配色セレクトボックスから、シミュレーション結果の色合いを変更できます。

ナユミ

拡散律速凝集…、何だか難しそうね。

カヤ

まあ、上のシミュレーションを理解するだけならそうでもないぞ。説明していこう。

  拡散律速凝集(DLA)



 拡散律速凝集(DLA:Diffusion-Limited Aggregation) は析出過程のモデルの一つです。 DLA は雷の放電、金属葉、培地上での微生物コロニーの成長、忍石(しのぶいし:dendrite)などの析出過程を表すことができます。
 先ほどのシミュレータで取り上げた2次元DLAの計算方法は次のようなものです。

\[ \rm 2次元DLA の計算手順\] [1] 2次元格子上の任意の点に析出核を置く。
[2] 2次元格子上のある任意の点(析出核がある位置は除く)に粒子を1つ置き、この粒子を使って2次元単純ランダムウォークを行う。
[3] 粒子が析出核の近くのある領域(捕捉領域)に到達した場合、この粒子を新たな析出核として既存の析出核に加える。
[4] [2]と[3]の手順を繰り返す。

 粒子の補足領域は、通常は既存の析出核の最近接点(析出核からの距離が1である十字型の4マスの領域)とされます。 ただ、この方法は非常に計算時間がかかるため、冒頭のシミュレータでは既存の析出核からの縦横方向の距離がそれぞれ8以下である正方形領域を捕捉領域としています。

 粒子がランダムウォークを開始する点は任意としましたが、この開始点が取り得る範囲(開始領域)によって計算結果は大きく異なります。 冒頭のシミュレータでは、初期の析出核の位置をユーザーが設定する場合、開始領域は初期の析出核の \( x \) 軸方向および \( y \) 軸方向の平均座標を中心とした円形の領域です。 一方、忍石モードの場合、開始領域は初期の析出核を中心とする上半分の半円領域としています。

 また、計算速度を速くするため、粒子が析出核を大きく離れた場合、その粒子のランダムウォークを取りやめ、新たな粒子を用いてランダムウォークをやり直すという処理を行っています。

 なお、ここで解説した内容は参考[1]に詳しく述べられているので、興味がある方はそちらをご覧ください。

ナユミ

へえ、色々な現象がDLAで表せるのね。

カヤ

DLA的なパターンは自然界の様々な所に現れるんだ。身近なところからDLAを探してみるのも面白いかもな。



参考:
[1] 松下貢、結晶成長とフラクタル、鉄と鋼、76巻、10号、1990年