目次
・集合
集合
\[ 集合の定義\]
\[ 範囲のはっきりした「ものの集まり」のことを \boldsymbol {集合} と呼ぶ。\]
\[ 集合の要素\]
1つの集合を形作る個々のものをその集合の要素あるいは元と呼ぶ。\( x \) が集合 \( X \) の元であることを、
\[ x \in X \ \ あるいは \ \ X \ni x \]
と書く。これを、\( x \) が \( X \) に属する、\( x \) は \( X \) に含まれる、\( X \) が \( x \) を含む、等とも言う。一方、\( x \) が \( X \) の元でないことは、
\[ x \notin X \ \ あるいは \ \ X \not\ni x \]
と書く。
\[ 集合の記法\]
ある集合のすべての要素を \( a,b,c, \ldots \) というように列挙することができる場合、その集合を
\[ \left\{ a,b,c, \ldots \right\} \]
という記号で表す。これを集合の外延的記法と呼ぶ。一方、ある条件 \( C(x) \) が与えられたとき、その条件を満たす \( x \) 全部の集合を
\[ \left\{ x|C(x) \right\} \]
という記号で表す。この記法を集合の内包的記法と呼ぶ。
\[ 元の個数による集合の分類\]
有限個の元からなる集合を有限集合と呼び、無限に多くの元を持つ集合を無限集合と呼ぶ。
元を1つも含まない集合を空集合と呼び、記号 \[ \varnothing \] で表す。
元を1つも含まない集合を空集合と呼び、記号 \[ \varnothing \] で表す。
無限集合は現実世界のものを考えると存在しない気がしますが、数学世界の中にはたくさんあります。
例えば、すべての自然数からなる集合は無限集合になりますし、実区間 \( \left[0,1 \right] \) も無限集合です。
\[ 部分集合\]
\( X \) と \( Y \) を2つの集合とする。\( X \) の任意の元が \( Y \) の元であり、かつ、\( Y \) の任意の元が \( X \) の元であるとき、\( X \) と \( Y \) は等しいと言い、これを
\[ X = Y \]
と表す。
\( X \) の任意の元が \( Y \) の元であるとき、\( X \) は \( Y \) の部分集合である、あるいは \( X \) は \( Y \) に含まれるといい、 \[ X \subset Y \ \ あるいは \ \ Y \supset X \] と書く。これは \( X = Y \) である場合も考慮される。空集合 \( \varnothing \) は任意の集合の部分集合とする。
\( X \) が \( Y \) の部分集合で、\( X = Y \) でないとき、\( X \) は \( Y \) の真部分集合であるという。
\( X \) の任意の元が \( Y \) の元であるとき、\( X \) は \( Y \) の部分集合である、あるいは \( X \) は \( Y \) に含まれるといい、 \[ X \subset Y \ \ あるいは \ \ Y \supset X \] と書く。これは \( X = Y \) である場合も考慮される。空集合 \( \varnothing \) は任意の集合の部分集合とする。
\( X \) が \( Y \) の部分集合で、\( X = Y \) でないとき、\( X \) は \( Y \) の真部分集合であるという。
\[ 和集合と共通部分\]
\( X \) と \( Y \) の少なくとも一方の元であるもの全体の集合を、\( X \) と \( Y \) の和集合とよび、記号
\[ X \cup Y \]
で表す。また、\( X \) と \( Y \) の両方の元であるもの全体の集合を、\( X \) と \( Y \) の共通部分とよび、記号
\[ X \cap Y \]
で表す。\( X \cap Y = \varnothing \) であるとき、\( X \) と \( Y \) は交わらないと言い、\( X \cap Y = \varnothing \) でないとき \( X \) と \( Y \) は交わると言う。
\[ K=\left\{ 大阪府,\ 京都府,\ 兵庫県,\ 奈良県,\ 和歌山県,\ 三重県,\ 滋賀県 \right\}\]
\[ T=\left\{ 愛知県,\ 岐阜県,\ 三重県,\ 静岡県 \right\}\]
\[ K \cup T = \left\{ 大阪府,\ 京都府,\ 兵庫県,\ 奈良県,\ 和歌山県,\ 三重県,\ 滋賀県,\ 愛知県,\ 岐阜県,\ 静岡県\right\}\]
\[ K \cap T = \left\{ 三重県 \right\}\]
和集合と共通部分の考え方は2個以上の集合についても適用できます。
そこで、次のようなものを考えておくと便利です。
\[ 集合族\]
「集合の集合」のことを集合族と呼ぶ。\( \Omega \) を1つの集合族とするとき、\( \Omega \) に属する少なくとも1つの集合の元となっているもの全体の集合を「集合族 \( \Omega \) の和集合」と呼び、これを
\[ \bigcup _{X \in \Omega} X \]
と表す。
また、\( \Omega \) に属するすべての集合に共通な元全体の集合を「集合族 \( \Omega \) の共通部分」と呼び、これを
\[ \bigcap _{X \in \Omega} X \]
と表す。
\( \Omega \) は大文字のギリシャ文字で「オメガ」と読みます。
集合の集合とは、例えば \( \Omega \) を「トランプの全種類のカード」とすれば、その中に「ハートのカード」の集合や「スペードのカード」の集合などがあるという話です。
\[ 集合の番号付け\]
添字集合 \( I \) の各元 \( i \) に対し、それぞれ1つの集合 \( X_i \) を対応付けることにより得られる集合族を
\[ \left\{ X_i \right\} _{i \in I} \]
と表す。この集合族の和集合を
\[ \bigcup _{i \in I} X_i \]
で表し、共通部分を
\[ \bigcap _{i \in I} X_i \]
で表す。\( I \) が \( n \) 個の元をもつ有限集合で、その元が \( 1,2, \cdots , n \) と書かれているときには、集合族 \( \left\{ X_i \right\} _{i \in I} \) を
\[ \left\{ X_i \right\} _{i=1,2, \cdots , n} \]
のようにも表し、その和集合を
\[ \bigcup _{i=1} ^n X_i \ \rm または \ \it X \rm _1 \cup \it X \rm _2 \cup \cdots \cup \it X _n \]
と書き、その共通部分を、
\[ \bigcap _{i=1} ^n X_i \ \rm または \ \it X \rm _1 \cap \it X \rm _2 \cap \cdots \cap \it X _n \]
と書く。\( I \) が正の整数全体の集合である場合、集合族 \( \left\{ X_i \right\} _{i \in I} \) の和集合を
\[ \bigcup _{i=1} ^{\infty} X_i \]
と書き、その共通部分を
\[ \bigcap _{i=1} ^{\infty} X_i \]
と書く。
\[ 集合同士の差\]
\( X \) 、\( Y \) を2つの集合とする。\( Y \) の元であって \( X \) の元でないようなもの全体の集合を \( Y - X \) で表す。特に \( X \subset Y \) である場合には、\( Y - X \) を、\( Y \) に対する \( X \) の補集合と呼ぶ。
考えている集合のすべてが、ある集合 \( U \) の部分集合であるとき、\( U \) を全体集合と呼ぶ。この場合、集合 \( X \) の元でないが、全体集合 \( U \) の元である集合を単に \( X \) の補集合と呼び、 \[ U - X = X^c \] と書く。
考えている集合のすべてが、ある集合 \( U \) の部分集合であるとき、\( U \) を全体集合と呼ぶ。この場合、集合 \( X \) の元でないが、全体集合 \( U \) の元である集合を単に \( X \) の補集合と呼び、 \[ U - X = X^c \] と書く。
これは全体集合 \( U \) を「トランプの全種類のカード」、集合 \( X \) を「ハートのカード」とすれば、補集合 \( X^c \) は「ハートのカード以外のすべてのトランプのカード」になります。
\[ ド・モルガンの法則\]
補集合に関して、次のド・モルガンの法則が成り立つ。
\[ \left( X \cup Y \right) ^c = X^c \cap Y^c \]
\[ \left( X \cap Y \right) ^c = X^c \cup Y^c \]
上の方は全体集合を「トランプの全種類のカード」にして、 \( X \) を「ハートのカード」、\( Y \) を「絵札」にすれば、「ハートのカードと絵札を合わせたもの」以外のカードは、「ハートのカード」以外のカードと「絵札」以外のカードとの重複部分に等しいということです。
下の方は逆に、「ハートの絵札」以外のカードは、「ハートのカード」以外のカードと「絵札」以外のカードとを合わせたものに等しいということです。
下の方は逆に、「ハートの絵札」以外のカードは、「ハートのカード」以外のカードと「絵札」以外のカードとを合わせたものに等しいということです。
\[ べき集合\]
部分集合全体の集合をべき集合と呼ぶ。集合 \( U \) のべき集合を \( \mathcal P \rm ( \it U \rm ) \) と表す。
\[ \mathcal P \rm ( \it U \rm ) = \left\{ \left\{ 〇,\ ×\right\} ,\ \left\{ 〇\right\}, \ \left\{ ×\right\}, \varnothing \right\}\]
もとの集合が有限集合の場合、べき集合の元の個数はもとの集合の元の個数を \( x \) とすれば \( 2^x \) になります。
これは \( x \) 個の各々の元があるかないかで場合分けができるためです。
\[ 直積 \]
有限集合 \( I = \left\{ 1,\ 2,\ \cdots ,\ n \right\} \) を添字集合とする集合族 \( \left\{ X_i \right\} _{i=1,2, \cdots , n} \) が与えられたとする。そのとき、各 \( X_i \) からそれぞれ1つの元 \( x_i \) をとって、順序付けられた組
\[ \left( x_1 , \ x_2 , \ \cdots , \ x_n \right) \]
を作り、そのような組全体の集合を \( \left\{ X_i \right\} _{i=1,2, \cdots , n} \) の直積(または \( X_1 , \ X_2 , \cdots , \ X_n \) の直積)と呼ぶ。これを、
\[ X_1 \times X_2 \times \cdots \times X_n \ \ \rm または \ \ \it \prod ^n _{i \rm =1} \it X_i \]
で表す。
直積 \( Z = X_1 \times X_2 \times \cdots \times X_n \) の元 \( z = \left( x_1 , \ x_2 , \ \cdots , \ x_n \right) \) に対し、\( x_i \) はその \( X_i \) 成分または第 \( i \) 成分と呼ばれる。成分の代わりに座標という言葉を用いることもある。
直積 \( Z = X_1 \times X_2 \times \cdots \times X_n \) の元 \( z = \left( x_1 , \ x_2 , \ \cdots , \ x_n \right) \) に対し、\( x_i \) はその \( X_i \) 成分または第 \( i \) 成分と呼ばれる。成分の代わりに座標という言葉を用いることもある。
具体例を挙げると、
\[ X_1 = \left\{ ご飯, \ パン\right\} \]
\[ X_2 = \left\{ 魚, \ チキン\right\} \]
とすると、\( Z = X_1 \times X_2 \) の元は
\( \left( ご飯, \ 魚\right)\) 、
\( \left( ご飯, \ チキン\right)\) 、
\( \left( パン, \ 魚\right)\) 、
\( \left( パン, \ チキン\right)\)
の4つになります。
\[ 有限集合の濃度\]
有限集合 \( X \) に対して、その元の個数を \( X \) の濃度と言い、
\[ |X| \]
と書く。\( X \) と \( Y \) を有限集合とすると、濃度について、次が成り立つ。
\[ |X \cup Y| = |X| + |Y| - |X \cap Y |\]
先ほどの都道府県の話で考えると、近畿・東海合わせた都道府県の数 \( |K \cup T| \) は、近畿が7、東海が4、両方に属しているのが三重県だけで1なので、
\[ |K \cup T| = 7 + 4 - 1 = 10\]
となります。三重県だけ2回カウントしているため、1個余分を引いておく形です。
参考:
[1] 松坂和夫、現代数学序説 ──集合と代数、筑摩書房、2017年12月6日発行